- 『キリスト教暗黒の裏面史』ヘレン・エラーブ

2006/09/14/Thu.『キリスト教暗黒の裏面史』ヘレン・エラーブ

杉谷浩子・訳、井沢元彦・監修。原題は "THE DARK SIDE OF CHRISTIAN HISTORY"。

何やらトンデモっぽいタイトルだが、至って真面目な本だった。キリスト教の負の面に焦点を当てた通史。キリスト教の勃興から、ローマ帝国における国教化、帝国崩壊後のいわゆる暗黒時代、異端審問、魔女裁判、覇権主義時代における植民地と奴隷制度、近代科学に対する圧力、現代におけるオカルト、などなど。

キリスト教のダーク・サイドを、その内部 (同時代の司教の言葉や文書) から記述しているために、迫力も説得力もある。悪意ではなく、善意の狂信であるからこそ恐ろしいわけだ。しかし、全ての信仰は狂信ではないのか。と思うのは俺が日本人だからか。