- 『リンダリンダラバーソール』大槻ケンヂ

2006/09/03/Sun.『リンダリンダラバーソール』大槻ケンヂ

バンドブームの頃を題材にした、自伝的な青春小説である。登場する人物、バンド、エピソードは全て実際に存在したものだが、別にノンフィクションではなく、かといって暴露エッセイでもない。大槻ケンヂ自身が語るところによれば、「ブームに翻弄される青春物語」であるらしい。

事実、本書に登場する「翻弄された」バンドの多くを俺は知らない (バンドや人名、レーベルに対しては詳細な注釈が付されており、これを読むだけでも楽しい)。翻弄された人々の「その後」がチラッと書かれていたりもして、それがまた何ともいえなく悲しかったりもする。登場人物の多くが前向きに生きている (いた) だけに、余計に哀しさが浮かび上がってくるんだよなあ。

俺は純粋に小説として楽しんだが、あるいはバンドブームに詳しい人には、また別の感想があるかもしれない。