- 『百器徒然袋 風』京極夏彦

2007/10/17/Wed.『百器徒然袋 風』京極夏彦

文庫版が出たので再読。『百器徒然袋 雨』に続く、榎木津礼二郎を主人公とした京極堂シリーズの中編集。収録作は、

の 3編。副題の最後 2文字が尻取りになっているのも前書『雨』と同じ。シリーズとしての特徴も『雨』の書評で書いた通り。一般人の「僕」は相変わらず右往左往し、榎木津からは奇天烈な名前で呼ばれ、下手な芝居を打たされる。このあたりのノリはむしろ『百物語』シリーズに近い。

このシリーズは他の京極作品以上に「様式」が重要視されているように感じる。要求されている制約は、『百物語』よりもずっと多い (『百物語』は時代背景や語り手となる登場人物が作品によって変化する)。恐らくこの過剰なルールが、榎木津のムチャクチャ加減をある場面では強調し、ある場面では中和している。

上手いもんだなあ。