- Diary 2014/04

2014/04/13/Sun.

「青は藍より出でて藍より青し」が物理的に意味するところは「染料の彩度は原料より高い」という至極当然のことであり、青に限った話でもない。

一般化の方法として演繹と帰納がある。数学の証明ではもっぱら演繹が用いらる。一方、自然科学における実験的な「証明」は帰納的なものである。帰納的な「証明」はたった一つの反例によって覆され得る。自然科学の理論が全て仮説に過ぎず、しばしば教科書が改訂される所以である。

演繹と帰納は相反するものではない。数学の予想は帰納的に着想されることも多い。自然科学では実験を行うにあたって作業仮説が求められるが、これは演繹的な推測に基づく。

科学的な思索において重要なのは、今この瞬間に自分が何を考えているのかを精確に把握することである。得られた発想・仮説・結論は演繹によるものか帰納によるものか。そこを厳密に峻別しなければ次に検討すべき課題の選択を誤る。逆に、演繹と帰納を意図的に混用することで、論破・看破され難い、嘘とまでは言い切れぬ結論に誘導することもできる。