- 古い未来

2013/12/13/Fri.古い未来

ウォシャウスキーWachowski姉弟の最新作、"Jupiter Ascending" のトレイラーを見た感想は「古いな」の一言に尽きる。この作品に限った話じゃない。確かに映像はリッチになった。だけど僕たちの未来観は何十年も前に作られた未来観から一歩も抜け出せていない。ブルーのライトに彩られたくらい街並みは幻想的で神秘的な雰囲気を醸し出し、機械的で電脳的な——しかしそれらがいったい何なのかは皆目わからない——数々のアイテムはいつもブンブンッと唸っている。どうして未来はこんなにも薄暗いんだろう。エネルギーが底を突いたのだろうか。電力問題すら解決できていないなんて、あまりにも未来らしくない。それに未来の製品はどれもお粗末に見える。僕が使っている MacBook Air や、目の前を駆け抜けていくプリウスのほうがよほど洗練されエレガントに動いている。Google Glass なんて最高にクールじゃないか。

現実とかけ離れていればいるほどそれは未来的だった、そんな時代があった。けれどこれほどまでに急速に、そして高度に科学技術が発達してくると、現実からの乖離は滑稽で奇妙な独りよがりに見えてくる。「これは未来ですよ」という記号にはもう飽き飽きだ。僕たちが見たいと願っているのは新しい未来なんだ。