- 読書日記

2012/04/27/Fri.読書日記

最近読破した本の短評を書いておく。

佐藤優の読書リストには相変わらず科学書がない。その引っ掛かりが強過ぎて、「功利主義」の意味もいささか不分明である。応用された科学技術は社会的功利の最たるものだが、彼がいうのは恐らく個人の生における功利であって、必ずしも科学を語る必要はないのかもしれない。

「100万ドルを拒否した〜」とは、もちろんグレゴリー・ペレルマンのことである。『完全なる証明』は彼の数学的業績の解説ではなく、その人物像に焦点を当てた評伝で、一気に読み切ってしまった。第11章「憤怒」——特にその結末——などには戦慄を覚える。すこぶる後味が悪い。研究業績とは何であるか。雑誌の impact factor を調べる前に、一度この種の物語を読んでみるのも良いだろう。