- 絵画教室六回目

2011/07/16/Sat.絵画教室六回目

絵画教室六回目。四枚目のデッサンを始める。モチーフは、パプリカとジャガイモと茄子(いずれも模型)。

デッサンスケールを用いながら構図を取る。途中で、アシスタント嬢にモチーフの位置を修正される。「コレとコレ、もっと間隔が開いてませんか?」。確かにそうかもしれないが、そもそも彼女と私とでは身長が異なるので、同じ椅子に座ってもモチーフの見え方は違うはずである。

この種の疑問——というより、それ以前の問題である対照の取り方——には、ほとんど無条件に反射してしまう。この反応を喉の奥でグッと押さえることが、社会生活を送る上では肝要である。普通の人々は対照をもって比較することに慣れていない。指摘したところで「細かいヤツ」を思われるのがオチである。

アシスタント嬢が、「掃除をするとテーブルの位置が毎回、微妙にズレちゃうんですよねー」と言ったときも、それなら床に印でも付けておけよと思ったが黙っていた。

——そう書くと、私が怒っているように読めるかもしれぬ。しかし別に怒ってはいない。気になるだけである。だが絵画教室はラボではない。私は楽しく絵を描くために時間を割いて来ている。対照だの比較だの、そんなことはどうでも良いのである。

これは決して強弁ではない。例えば、時々刻々と変化する風景や動物や植物を描くときには、何をもって対照とするのか。そんなことを考えていては、少しも筆が進まないだろう。そこでシャッターを切るのは簡単だが、私が「見た」ものが必ずしも写真に映っているわけではない。私は私に見えたものを描くしかない。

夜はヴェトナム料理屋で晩餐。

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