急に暑くなってきた。新しい我家にはエアコンが設置されておらず、扇風機もないので、昨夜は室内の熱気に往生した。ビールを飲んでも汗が出るだけ、窓を開けても入ってくるのは羽虫の類ばかりである。
清少納言は「夏は夜」と書いたが、私なら断然「夏は朝」である。週末ごとにキャンプを張っていたあの頃、山中で迎える早朝、朝露、湿土の匂い、木漏れ日、草木の香り、鳥や虫の声、そして何よりも肌寒いほどの涼しさが、暑い夏の記憶として鮮烈な印象を残している。
……なんてことを、朝からビールを飲みつつ思い出している。だって暑いんだもん。この日記を書き終えたら家電屋に行って、エアコンを物色してくるつもりでいる。堕落したものだ。
話を変える。
昨日はラボに行って実験をしてきた。休日に出勤するのは、この職場ではほぼ初めてのはずである。四月からこれまで、意識的にカレンダー通りの勤務を続けてきた。夜遅くまで残って仕事をこなした日も数えるほどである。この世界で生き残りに賭けるポスドク一年生としては、少々物足りない働き方ではあるだろう。けれども、何年か前に、色々な意味での「そういう義務感」とは訣別しようと決めたのである。
もちろん、これは私個人の考えである。誰に奨めようとも思わぬし、他人の生き方を否定するつもりもない。
先月、Dr. H と会った際、「研究命、っていう人は辛いよね」という話が出た。この文句には様々な含意がある。捉え方は人によって変わるだろう。
書きたいことは沢山あるが、自分の生き方にすら自信が持てないので、これ以上の言及は避ける。しかし祈らずにはおられない。皆が、夏の朝のような爽やかな日々を迎えられんことを。これは、馬鹿馬鹿しくて naive な想いだろうか?