- 論理性と定量性

2011/04/10/Sun.論理性と定量性

科学的な思考において最も重要なのは論理性であるが、それを担保するという意味でより根源的なのは定量性ではないかとも思う。科学において「〜だから……となる」と論じるには、量が決定的な役割を果たす。なぜなら、科学的議論の土台となるのは観測された事実であり、通常これは数値という形で現れる——、というよりも数値へと変換された形で把握されるからである。公理から純粋に演繹される数学とは実にこの点が異なる。

福島の原子力発電所における放射線漏洩がこれほどの混乱を引き起こしているのは、事案の重大性に加え、ほとんどの人間が、発表される数値に対して定量的な判断が下せていないからではないか。どれほどの漏れなのか。半減期は。影響が出る期間は。確率的な危険性は。などなど。

今回の事件に限った話ではない。定量的に物事を認識している人は驚くほど少ない。