- 『ポスドクからポストポスドクへ』円城塔

2010/08/01/Sun.『ポスドクからポストポスドクへ』円城塔

円城塔という作家については何も知らないが、物理学会誌に掲載された文章が話題になっていたので読んでみた。随分と面白い人である。

自身何度もポスドクを務めたという円城の文章が描く世界は、ポスドクではない者どもが騒ぐところの「ポスドク問題」とはその印象を異にする。恐らく彼は、この問題が多数を幸福にする形で解決されないことをよく知っている。

日本物理学会は余剰のポスドクを世間に還流させるべく、重い腰を上げたのだという。正直余計なお世話だと想うのだが如何なものか。誰しも自身の人生を憂い、切り開くくらいの頭はある。

正直、これでも楽観過ぎるのではないか。物理学会誌に寄稿するに当たり、随分とトーンを抑えたのだろうと推察する。本心では、どうにでもなれと思っているのかもしれない。我々と同じように。