- 投票厨

2010/07/09/Fri.投票厨

そこで、反投票制度を提案する。普通、選挙において、投票者は自らの貴重な一票を投じる。これは「プラス一票」であり、投じられた票は候補者の得票となる。そうではなく、どうしても当選してほしくない候補者に「マイナス一票」を投じる行為、すなわち候補者の「損票」となる投票、これが反投票である。一種の拒否権といえなくもない。

「投票、無投票、反投票」

反投票というアイデアは「棄権」という文字から得た。「権利を棄てる」と訓むか、「棄てる権利」と訓むかで、棄権の印象は随分と変わる。「棄権する」という言い回しから察するに、これは「権利を棄てる」と解するのが恐らく正しい。しかし、言葉は言葉に過ぎない。権利は拡大されるべきである。我々は「棄てる権利」を得なければならぬ。

棄権の他に、白票を投じるという意思表明の方法もある。が、政治的実効性がない点では無投票と変わりない。我々が欲しているのは投票権ではない。政治意思を表明するための有効な選択肢である。棄権や白票は、その行為よりも、効力の乏しさをこそ問題にするべきである。

このことを強調するために、「投票厨」という言葉を造り、2ちゃんねるあたりに流せば面白い反応が得らるかもしれぬ。

本来、「〜厨」は「〜する者」を揶揄する蔑称である。しかし近年では用法が多様化している。無職の者が、勤労者を指して「労働厨」という。違法ダウンロードの常習者が、正規購入者を「購入厨」と呼ぶ。社会的に正常な、非難されるべきではない行為を営む者が「〜厨」とされている。

ここで、モラルの低下を指摘するのは容易である。ただ、現実はそれほど単純ではない。文脈にもよるが、「労働厨」には、「企業の言いなりになり、低賃金で過労死するまで働く者」といった意味も含まれる。既存の「モラル」を検討することなく、ただ盲従するだけの者への(多分にひねくれた)カウンターとしても機能しているのである。

この文脈で「投票厨」を議論することには、それなりの意義があるのではないか。

燃料も用意しておこう。北朝鮮の投票率は 99.9%中華人民共和国の投票率は 90% 以上ヒトラーを総統に選んだ選挙の投票率は 95.7% であるという。