- 『レッドクリフ Part I』ジョン・ウー

2008/11/29/Sat.『レッドクリフ Part I』ジョン・ウー

『レッドクリフ Part I』(ジョン・ウー監督) を観てきた T です。こんばんは。

熊本から帰ってくる飛行機の中で、ジョン・ウー監督へのインタビューを読んだ。「アジアの心」を表現したかったという。

『レッドクリフ』は赤壁の戦いに材を取った映画である。赤壁の戦いは主に『演義』によって知られる。というか、正史にはほとんど記述がないんだよな (孔明も登場しない)。したがって、どう料理しても良いわけで、その意味ではまことに映画的な題材である (小説にすると必ず『演義』とバッティングするので、三国志自体が映像的なテーマであるといえる。やたらと漫画が多いのはこのためではないか。北方三国志が話題になるのはその反動とも考えられる)。

さて、"Part I" では、長坂の戦い〜蜀呉の同盟〜赤壁での前哨戦までが描かれる。趙雲は馬術と槍術に長けているし、関羽は青龍刀を奮っておる。おお三国志だ。しかし張飛は蛇矛をもっておらず素手でドツき回っているし、最大の見せ場であるはずの、長坂での仁王立ちもない。監督は張飛が好きではないのか?

三国志に興味のない人を加えたとしても、世界的に見れば、それでも日本人は三国志に異常に詳しい (ひょっとしたら世界一なのではないか)。したがって、「欧米にアジアの心を紹介したい」という目的で制作された『レッドクリフ』は、良くも悪くも我々日本人にとって「わかりやす過ぎる」。ほとんど「クサい」の領域に近い。肩の力を抜いて観るくらいで、ちょうど良いのではなかろうか。