- New Orleans (5)

2008/11/12/Wed.New Orleans (5)

演劇、特に音楽や歌や踊りを含むそれには疎い T です。こんばんは。

早朝に起きて、朝一番の飛行機に乗り込む。帰国のルートは、New Orleans → Los Angels → 成田 → 伊丹。予定通りの運航で、無事に日付変更線を通過。日本に戻れば、後はどうにでもなるので一安心。というか、毎回毎回、飛行機に心を砕く方がおかしいんだよな……。

機内で上映されていたミュージカル映画を視聴する。ミュージカルというのは何度か観たことがあるが、この形式を一体どのように理解すれば良いのか、いつも判断に苦しむ。物語は一般の演劇 (映画) 形式で進むわけだが、場面が盛り上がってくると音楽が始まり、登場人物 (しばしばその場面を構成する多数の人間) が歌って踊る。音楽が終われば場面は転換し、また普通に物語が進んで行く。これは何なのだろうね。

音楽パートは、物語の進行パートと「別のもの」として考えるべきなのだとは思う。まさか「登場人物たちが歌って踊る部分」も「現実」(小説でいうなら地の文とでもいうべきか) であるという「物語」ではあるまい。とはいえ、音楽パートが物語と全くの無関係というわけでもない。それは物語や登場人物と、少なくとも何らかの対応関係にあるものではある。しかし例えば、音楽パートを「登場人物たちの心理や内面を音楽と踊りとして描写したもの」と解するのは、間違いではないのだろうが、ちょっと違うかなと思う。

あるいは、物語は単なるツマに過ぎず、あくまでも主体は歌と踊りの部分であると考えれば良いのかというと、どうもそういうわけではない。ミュージカルから物語を抜いてしまえば、やはりそれは「ミュージカル」としては成立しないように思われる。

逆に物語の視点から考えると、音楽パートが存在しなくともストーリーには支障がないであろうことに気付く。この非対称な依存関係が、ミュージカルという形式の特徴であるらしい。不思議な芸術である。