- 奇妙な隣人たち

2008/09/09/Tue.奇妙な隣人たち

T です。こんばんは。

近代以降の文学においてテキストが重視されるのは、それがテキストであることを意識されて書かれたテキストだからじゃないか、っていう。物語るためではなく文字通り読まれるものとしてのテキストという自覚、みたいな。それに伴う必然的な読者のレベル・アップっていうのもあるよな。

ところで。

我が周辺の住環境はとにかく静観で気に入っているのだが、どうも最近は騒々しい。大学が夏休みに入ってから階下の者が毎晩和合しており、窓を開けているのか、女の甲高い嬌声が俺の部屋にまで届くので大変うるさい。仕事が遅くなって帰ってきたときなどは、建物の向かいの道路にさしかかった地点で閨の声が聞こえてくる。散歩をしている人が我がアパートを見上げていることも多い。学生マンションではよくあることとはいえ、いささか常軌を逸しておる。

この交合は毎夜 2回、22時頃と 2時頃に始まるのだが、そのたびに住人が一斉に窓を閉めるのでいつも笑ってしまう。そして俺も窓を閉めるのだが、面倒といえば面倒なので、やはり少しく腹が立つ。読書や仕事をしているときなどは尚更である。勉強をしている者も多いだろう。住人の多くは学生なのでわざわざクレームを付けるようなことはしないと思うが、しかし隣近所の監視網が発達している京都のこと、近隣の居住者から大家に苦情が寄せられることは大いにあり得る。というか、大家老夫妻は件の部屋の下に住んでいるんだよな。やかましく感じているに違いない。

住人といえば、俺の斜向かいの部屋の玄関がいつも半開きになっているのも不思議である。深夜早朝に関わりなく、常に半開きなのだ。そして隙間からは、傘やゴミ袋がはみ出ている。人は住んでいるはずだが、見たことはない。灯が点いていることもない。留守なのか。留守なのに玄関が開いているのか。何なんだろう。異臭がしていないか、今でもつい注意を払ってしまう。

あと、我らが住人ではないが、深夜に物凄い大声で歌いながら自転車で向かいの道路を通過する男、というのもいる。何を歌っているのかは知らない。頻度も週1回ぐらいである。どれほどの大声かを説明するのは難しいのだが、ドップラー効果が発現するほどである、と書けば少しは想像できるだろうか。自転車の速度もなかなかのものであるに違いない。深更、何だか人の声がするなと思っていると幾何級数的に音量が大きくなってくる。奴が来た。と思った次の瞬間には我が建物を通り過ぎて彼方へと去って行く。Stormbringer。彼のことを俺は勝手にそう呼んでいる。