- My Sweet Negative Data

2008/03/08/Sat.My Sweet Negative Data

欠けた歯が気になって舐め回していたら舌がズタボロになった T です。こんばんは。

研究日記

病院。

実験で良い結果を得る。土日に進捗があると嬉しい。世の優秀な人達は、このような秘密の愉悦とともに先頭を走っているのだと思われる。私も努めなければ。日本人は「人知れぬ努力」が好きだが、その裏にある隠微な快楽についてはあまり語らない (あるいは知らないだけなのかもしれないが)。確かに、このニヤリ感を大っぴらにするのは日本人の美風から外れる行為ではある。

少し話は変わる。「発見」が持つ麻薬的魅力についてもあまり触れられることはない。偉人伝に書かれる発見の物語は、大いなる感動、驚嘆、歓喜を活写するが、その背後にある恍惚的な感情は表に出してこない。だが、発見の本当の魅力 (と少ない経験で私が思うもの) は、「このことを知っているのは世界にこれまで存在した人間の中で俺だけなのだ」という、強烈に満たされた独占欲である。その瞬間に限っては、その発見が重要であるかどうかは副次的な要素に成り下がる。で、ニヤリとする。

Negative data も、「それが negative であること」を誰も知らない、という意味では発見である。そう考えると幾分救われる。否定的な条件を潰すことによって positive な結果、いわゆるところの「発見」に辿り着くわけだが、positive data はいずれ発表されて誰もが知るところとなる。逆に、negative data は墓場まで自分だけのものだ。表には出てこないが、私達全ての愛すべき友である。