- 専門バカ

2008/03/06/Thu.専門バカ

これが自分の専門、といえるものをまだ持っていない T です。こんばんは。

「好きな女優は蒼井そら!」と電車の中で宣言している男子高校生を見た。いや、それは公衆の前で、しかも大声で言うことじゃないから。「蒼井優」の間違いなんだとは思うが、それにしても。

書斎

研究日記

昨夜のセミナーは development に関する研究発表だったのだが、「だから何?」みたいな反応があって面白かった。医者が相手をするのは "developed" な個体である。患者の失われた function をどう補填するか、あるいは恢復するかが重要なのであって、dysfunction の原因はもちろん大切なのだけれど、それが必ずしも治療に役立つとは限らない。例えば、development の過程にのみ現れる遺伝子を医療の標的とすることはできない。

話を変える。「専門バカ」は、少なくとも専門領域に関しては professional である。専門バカになるのも大変なのだ。専門バカを批判する人というのは何者なのだろう。専門家ですらないのか。それは単なるバカだ。

ところで、"generalist" は「専門バカ」の対義語ではない。「複数の専門領域に深い造詣を持つ者」のことである。したがって generalist も、少なくとも一度は専門バカの道を辿っているはずである。

これまた話は逸れるが、中島敦『名人伝』に登場する弓の名手は、また別の意味で専門バカといえる。

「ああ、夫子が、——古今無双の射の名人たる夫子が、弓を忘れ果てられたとや? ああ、弓という名も、その使い途も!」

その後当分の間、邯鄲の都では、画家は絵筆を隠し、楽人は瑟の絃を断ち、工匠は規矩を手にするのを恥じたということである。

(中島敦『名人伝』)

これはこれで困る。