- 人名を単位にするという感覚

2007/12/07/Fri.人名を単位にするという感覚

Twitter を始めた T です。こんばんは。

本当に名誉なこと……なんだろうか

モルガン (M) は遺伝子の組換え価、つまり確率的な事柄に対する期待値の単位であり、染色体上の物理的な距離とは非常に密接な関係はあるが長さそのものの単位ではない。ゲノムの塩基配列が明らかにされる以前、遺伝子が染色体上に占める位置は生物学的に極めて重要な情報であった。教科書には必ず染色体の物理地図 (phisycal map) が掲載されているし、年配の研究者は実によくその地図を把握している。そういえば中国の学会では研究員嬢が、彼女の研究している因子の物理的位置を質問されて立ち往生していたっけ。「何でそんなこと訊くの?」という表情が印象的だった。確かに、どうでも良いことのように思ってしまいがちだ (私もそうである)。

ゲノム情報が明らかにされて以降、各遺伝子の物理的位置関係はフラット化され、それらが染色体上のどこに存在しようと容易にアクセスできるようになった。古典的な遺伝病の原因遺伝子ならともかく、ある遺伝子が何番染色体のどこに位置しようが、我々はあまり気にしなくなった。でも、各遺伝子の物理的な位置とその発現は本当に本質的な関係はないのだろうか。という疑問は後日への課題として本題に入る。

モルガン、センチモルガン (cM) という単位名はトーマス・ハント・モーガン (Thomas Hunt Morgan) の姓にちなんでいる。こういう例は他にもあって、ワット (Watt, W)、ヘルツ (Hertz, Hz)、ジュール (Joule, J)、パスカル (Pascal, Pa) などなどがよく知られている。これらの単位を見るたびに、もし日本人の名前だったら……と想像してしまう。「センチ田中」「キロ山村」「ヘクト伊集院」。ヘンな感じである。

「相生 (Aioi)」みたいな母印ばかりの苗字だったりすると、英語圏の人間には発音できんぞ。我々の心配することではないが。俺達はいつも英語に苦しめられているのだから、是非とも全国の相生氏には世界的な研究をしてもらって日本語で一矢を報いてもらいたい。

shuraba.com は相生氏の研究を応援します。