- 推理小説歴と父の本棚

2007/07/01/Sun.推理小説歴と父の本棚

本の話ばかりで恐縮している T です。こんばんは。

私は探偵小説が好きだが、Book List のラインアップから、「要するに島田荘司御大以降の本格ミステリー・ファンなわけね」と思われるのは心外なので、少し読書遍歴を書く。

「衝撃を受けた 21冊」でも触れたが、私と探偵小説との出会いは、ポプラ社の「怪盗ルパン」シリーズである。よくあるパターンだ。人によってはそれがホームズだったかもしれず、あるいは江戸川乱歩であったかもしれない。これらの全集は、多くの書店の児童書コーナーに置いてあったし、学校の図書館にも大概が揃っていた。私が好きだった順に並べると、ルパン > 乱歩 > ホームズであるが、まァそれはどうでもよろしい。

中学生にもなれば、ここからアガサ・クリスティやエラリー・クイーンなどの海外作家に飛ぶか、あるいは日本のいわゆる新本格に移行するのが順当かと思われるが、私の場合は少し違った。父の書棚には、松本清張、森村誠一、西村京太郎、西村寿行、笹沢佐保、鮎川哲也、和久峻三などなどの社会派推理小説がギッシリと詰まっており、私はそれらを片っ端から読んだのであった。中高生がそんなものを読んで面白いのかと、今となっては不思議なのだが、当時はそれでも興味深く読んだものである。

新本格以降の探偵小説しか読んだことがない若い人は、社会派推理小説を食わず嫌いにしている部分もあるようだが、「トリック」の凄い小説は社会派の中にも色々とある。松本清張『点と線』は有名だが、西村京太郎『華麗なる誘拐』『七人の証人』あたりも、ミステリー史上に残るトリックであると私は確信している。あまり話題に上らないけれども、読まれていないんだろうか。

書棚には他にも、梶山季之、菊村到、清水一行、勝目梓などの軽い風俗小説もあって、これらも大抵は読破した。この手の小説には、大抵の場合、エロが絡んでいる。今から思えば大したことのない、ほんのサービス的なポルノ描写だったのだろうが、中学生であった私の空想はいたく刺激されたものだ。思春期だなあ。

ともかく、私が島田荘司御大以降の本格探偵小説を読み始めたのは、上記数百冊を読破した後のことである。だから、にわか探偵小説ファンと思われるのは、ちょっと癪なのだ。

父の書棚から拝借して読んだ本も、いずれ自分で買い直して私の本棚に並べたいと思い続けている。学生の頃は、一度読んだ本を買い直すまでの余裕が、金銭的にも空間的にもなかった。今ならできる。流行作家の古い文庫本ばかりだから、ブックオフなどで容易に揃うだろう。しかし、いかんせん 10年以上も前のことなので、タイトルなどを正確に思い起こすことができない。今度帰省した時に、リストを作ってこようかと考えている。