- 実験動物の倫理問題 (3)

2007/05/14/Mon.実験動物の倫理問題 (3)

1年半も前の日記の続編というのはいかがなものかと反省している T です。こんばんは。

研究日記

大学 → 病院。

職場では午後から全体会議、動物実験の講習会、ラボのセミナー。

動物実験・実験動物に関しては、一昨年と昨年に「実験動物の倫理問題 (1)」および同「(2)」「動物実験講習会」と題して書いている。今読めば筆足らずな部分もあるが、私の考えは基本的に当時と変わっていない。実験動物に関する倫理は奇妙な問題である。この認識に変化はない。と同時に、私は 1人の実験者として、実験動物に感謝している (そしてこれは私のエゴイズムでもある)。また、社会人として規則は遵守する。

1つ付け加えるとすれば、実験動物に与えるストレスや苦痛が少ない系は、科学的にもリーズナブルであるだろうという、考えてみれば妥当な確信だ。優れた系を確立できれば、それは自ずと動物実験の指針で謳われている精神と合致する。したがって、研究者は余計なことを考える必要はない。

実験動物が犠牲であることに変わりはない。この事実はどんな欺瞞 (= ガイドラインや指針) でも覆せない。彼らの犠牲が「尊い」ものになるかどうかは、ひとえに研究者の力量にかかっている。だからこそ、科学的なこと以外は「余計」なのである。言い換えるなら、動物実験における倫理は、結果としての倫理なのだ。倫理そのものが目的なら、動物実験を全廃する以外にない。

まあ、倫理を語る試みは全て失敗するわけだが。