- Diary 2006/07

2006/07/25/Tue.

今週は早寝早起きの T です。こんばんは。

研究日記

終日病院。凍結切片の作製など。

研究員嬢の仕事が思うように進んでいないらしく、ヘルプするようにとボスから頼まれる。同じラボのこと、もちろん否やはない。現在、俺は 2人のテクニシャン嬢と仕事をしているが、彼女は 1人でやっているのである。ボスのいうことを全部やろうと思っても、それは無理であろう (本当は、エキセントリックな要求を適当にかわすスキルこそが必要なわけだが)。

辞職願を書く。今月いっぱいで先輩研究員女史が退職されるのだが、そのポストを俺が譲り受けることになっている。肩書きが変わるだけだが、書類上は、一度退職して来月から新たに採用ということになるらしい。辞職願は全文を手書きにせねばならないらしく、何度も書き損じる。面倒臭い。

2006/07/24/Mon.

パンの昼飯が続いている T です。こんばんは。

天気が悪かったり気温が高かったで、最近、昼飯を外で摂っていない。

鈴木大拙『日本的霊性』を読もうとしているのだが、難し過ぎて全然進まない。おまけに眠くなる。こういう本は、とりあえず訳のわからぬまま読んでしまい、機会を見付けて再読するのが良い、ということは経験上知っている。しかし、その「とりあえず」にここまで苦労する本も久し振りである。

研究日記

終日病院。

朝早くから職場へ。スライド作りに 2時間ほど。日が高くなると、自分の時間がなくなる。感覚的にだが、10分に 1回は必ず名前を呼ばれている。

夜はセミナー発表。30分ほど話す。まずまずの部分もあれば、微妙な点もあった。精進せねばなあ。

2006/07/22/Sat.

机の上に朱肉を付けてしまってヘコんんでいる T です。こんばんは。

これまでにも灰皿やコーヒーを机上にブチまけてしまったことがあるけれど、どれも綺麗に拭き取ってきた。しかし朱肉は消えない。さすがに印鑑のインクだけあって丈夫なものである。ハンコ社会・日本の面目躍如といったところか。などと感心している場合ではない。とにかく消えなくて困っている。溶媒は何なんだろう。

文庫版『ジョジョの奇妙な冒険』を第5部まで読了。というか、第6部はまだ文庫化されていないんだな。

研究日記

病院 → 大学。少し実験をして、月曜日のセミナーの準備。今月は実験の調子が良くて、ボツボツとデータも溜まってきている。

研究員嬢が来ていた。確か先週の土曜も来ていた。明日も来るという。俺より働いているんじゃないか。それは困る。俺より遠くから通勤している年下の女性にそんなマネをされては、ボスに対して「イヤこれ以上はちょっと無理ですね」という言い訳ができないではないか。さっさと帰ってほしい。若い女の子が、週末にプラスミドを取っているようではダメだ。もっと他にすることがあるだろう。と、冗談ではあるが、いささか心配でもある。

一昨日、ボスと韓国の学会に行くことになった、と書いた。今日は、「韓国のついでに中国の学会もどうか」というメールがボスから来ていた。つけ上がらせると調子に乗る人物であることがよくわかる。それにしても何でアジアばっかりなんだ。

2006/07/21/Fri.

家のデカさとは物理的な面積ではなく、余白的なスペースの多寡で決まると思う T です。こんばんは。

独居用住宅は、何にせよ余裕がない。「家」には色んなところにワン・クッションがある。実家に帰るたびに思うことだが、例えば風呂場の前に洗面所がある、便器の前に手洗いの空間がある、玄関と廊下の間に余剰スペースがあり、床の間があり縁側がありテラスがある。

今の我が豪邸は築 30年近くの古い建物だが、そのためか独居用にも関わらず余白的空間がそこかしこにあって、それが何となく家的な雰囲気を醸し出している。旧豪邸は新しく、機能的ではあったかもしれないが、それだけといえばそれだけの、面白みのない間取りであった。

旧我が豪邸 現我が豪邸

左が旧豪邸、右が現豪邸である。現豪邸には、A や B といった無駄な (と最初は思った) スペースがある。現豪邸図の赤線の部分には、これまた意味不明な段差がある。バリアフリーくそ喰らえといった、いかにも昔の設計であるが、実は気に入っている。この段差をストンと下りると、ああ帰ってきたなあ、という気がするのだ。何事にも余白がなければいけない。

今月は割と余白のある生活だった。今日も古本屋を巡ったり昼寝をしたり。来週月曜にはセミナー発表が控えているので、また明日から気合いを入れ直そうと思っている。「Radio」もちょっと間が空いてしまったので、近い内に再開したい。このページ、思いのほか頻繁にアクセスされているようで、「ヤル気のないコンテンツほど何故かチェックされる」という web サイトの法則に忠実なのである。

2006/07/20/Thu.

26歳になった T です。こんばんは。

明日は休み。今月は毎週休日が取れてるぞ。

研究日記

終日病院。

組織の凍結切片の作製に初挑戦。クライオスタット (cryostat) でスライスするのだが、最初はなかなか難しい。今日俺がスライスしたのは心臓組織だが、これはまだ簡単な方だという。柔らかい組織は難儀だと聞いた。試料の温度や、切り出す厚さで微妙にコツが異なるらしい。

1時間ほど練習して、満足のいく標本もできた。1枚が 4 um のスライスだから、1 mm の試料から 250枚も取れる。いくらでも練習できるので、その意味では気分が楽である。本番は来週。

9月にボスと韓国の学会に行くことになった。

俺と、隣の実験助手女史の誕生日 (女史は 17日) ということで、テクニシャン S嬢からチェリーのタルトを、テクニシャン U君からロールケーキを頂く。臨床検査技師嬢、テクニシャン K嬢と一緒に晩飯。食ってばっかりだな。感謝。

2006/07/19/Wed.

昼食後、少し居眠りをしてしまった T です。こんばんは。

Web 日記

タグ付けが流行しているが、これも一過性のものなんじゃないかと思っている。普通に考えて、日記や写真に一つ一つタグを付けるのって、面倒以外の何物でもない。「同じタグのものを探すことができる」とかいわれても、検索会社の怠慢のような気がするし。情報の蓄積に対して検索技術の進歩が追い付いていないので、非常にレガシーな「タグ付け」という行為が、その簡便さと相まって、人々の「参加欲」を刺激しているだけではないのか。

自然検索文だとか、イメージの内容を把握する画像解析ができるようになれば、タグっていらないし。

研究日記

終日病院。Western で結構アツい結果が出る。免疫染色したスライドを顕微鏡観察。久し振りに長時間の観察をすると眼が痛い。

2006/07/18/Tue.

ここ数日、寝れば寝るほど眠くなる T です。こんばんは。

メタの効用

それがメタであるかどうかは、ひとえに発話者の言語レベルに依存するのではないか。メタというのは視点を枠の外側に立てたときのパースペクティブだが、その「枠」は皆の間で同じとは限らない。「1, 2, 3, たくさん」という数詞しか知らない人間にとって、負の数や虚数はメタな数字かもしれないけれど、我々にとってはそうじゃない。

例えば作中の人物が、「自分が『創作された者』であることを知っている」という、いわゆる「メタな」展開があるけれども、これはあくまでその登場人物においてメタなだけであって、消費者にとっては、ありふれたテクニックで作られた作品にしか過ぎない。

非常に乱暴なことをいうと、メタを「メタ」という言葉で認識した時点において、そのメタは既に半壊している。これは凄いことではないか。あとは、認識したメタを適当な言葉で記述すれば良い (これはこれで難しいのだが)。メタはメタでなくなり、枠が広がる。拡張された認識領域は新たな外部と接触し、そしてまたメタが生まれる。つまり「メタ」という触媒が、枠組みを自己増殖的に膨張させる。メタの発見の最大の効力はそこにある。

研究日記

病院 → 大学。ボスとディスカッション。別のラボ主催のセミナーを聴講。

2006/07/17/Mon.

滅多に薬は飲まない T です。こんばんは。

研究日記

病院で細胞の世話。4000万個程度に増えているはずの細胞が、なぜか 600万個しかいなかった。なぜ? 相当ヤバい。

昨日の続き。医学的には、治療に貢献できるかどうかが最重要であって、その作用系の解明は副次的なものである (場合もある) という話をした。

「EBM」という言葉を、就職してから初めて聞いた。意味を知ったとき、俺はひっくり返ったものである。EBM は「evidence based medicine (証拠に基づいた薬)」の略で、「これからは分子生物学的な研究結果を元にした薬の時代ですよ」というキャッチなのだが、「これからは」ってどういうことよ。これまでの薬は証拠がなかったというのか。驚いたことに、どうもそうらしい。つまるところ、「薬剤某を投与したら症状がどうなった」というのが臨床研究なのであり、「どう作用しているか」は二の次なのである。臨床研究は経験知の集積であり、そこから何らかの相関を見出して系の解明に至ることはあっても、その逆は極めて稀である。「その逆」というのは、まさしく俺のような基礎学徒が行っていることなのだが、まァ、そのくらい発想が反対なのだ。

であるから、「nature かどうか」を気にする人がいないのも、当然とはいえる。反対から見ているんだから。例えば、融合タンパク質は俺にとって nature の代替品でしかないが、彼らにとっては nature に「近付く」ためのものである。このくらい違う。頭が痛くなるときもあるが、視野を広げられることも多い。何事も経験だなあ。

2006/07/16/Sun.

昨夜から文庫版『ジョジョの奇妙な冒険』を読んでいる T です。こんばんは。

なげー。第3部の終わりまでで 17巻だから読み切れるかな、と思っていたのだが、よく考えたら文庫版。コミックスでは 28巻に相当する。まァ、急ぐ必要はないので、ゆっくり楽しんで読む。結局、夜明けまでかかって読破してしまったのだが。

今夜は今夜で、第5部「黄金の風」までを買ってきた。特に第4部「ダイヤモンドは砕けない」が好きなので、食料品も買い込んで熟読する予定。

研究日記

病院で細胞の世話を少し。職場の最寄り駅についた途端、物凄い雨に遭う。実験が待っているため、ビショビショに濡れながら悠然と出勤を継続する。

ところで、生物学的に「それが nature なものかどうか」が問題になることがある。例えば各種の融合タンパク質。その化学的性質や細胞内での局在をいくら調べたところで、それらはあくまで融合タンパク質のキャラクターである。nature なタンパク質の特性もそうであるという保証はどこにもない。タンパク質の X線結晶構造解析なんかもそうである。この研究からわかるのは「結晶化したタンパク質の立体構造」であるが、細胞内でタンパク質が結晶化することはない。

だからといって、これらの研究が無駄であるということはないのだが。この問題については、「事実としてのアーティファクト」に書いた。

で、だ。ES 細胞というのも、非常に人工的なものである。ES 細胞の主な研究の一つに、各種細胞への分化機構の解明とがある。しかし例えば、ES 細胞のみを dish 上で培養している系における分化機構というものが、発生におけるそれと全く同じものかと問われれば、大変疑問に思う。これは発生学的な発想である。「nature でない (かもしれない)」ことに、引っ掛かりを覚えてしまうんだな。

でも、今の職場でそういうことを考える人は皆無である。医学的には、「nature であろうとなかろうと、機能する細胞に分化して治療に用いることができれば良い」ということになる。極端にいえば、だけど。わからんでもない。「nature でなければならない」のならば、そもそも薬というものが成立しない。

長くなりそうなので、続きはまた明日。

2006/07/15/Sat.

文庫版『ジョジョの奇妙な冒険』を大人買いした T です。こんばんは。

本当は全巻購入したかったのだけど、持って帰れそうになかったので、第3部「スターダストクルセイダーズ」まで。続きは明日以降。

Web 日記

「ウェザー・リポートのゴゴゴゴ天気予報」「ザ・ワールドの時が止まる時計」が、Win IE 6 で見たらかなりズレていたので、吐き出す HTML を少し修正した。直っているかどうか知らんが、これ以上対応する気はない。Firefox と Opera では最初から正しく表示されているんだから。

このサイトを御覧になられる方は総じてネット・リテラシーが高いせいか、IE の使用率が低い。だから俺も、IE という特殊なブラウザをあまり意識せずにサイトを更新できる。非常にありがたい。

我々の世代で、コンピュータやネットに時間と金銭を投資しない人間は、「情報収集に熱心でない」という烙印を押されても文句がいえない。断っておくが、熱心でない人々を否定するつもりは全くない。ネットの情報が生活の全てではない。ただ、このサイトを運営するにあたっては、そのような方々を念頭に置いてはいないという話。プロ野球の中継で、野球のルールを一々解説しないのと一緒。

研究日記

終日病院で細胞の世話を少し。昨夜から人出が多いと思ったら、もう祇園祭なんだな。今夜が宵々山だという。俺は去年行ったから、もういいや。祇園祭に行った人は必ず、「一度行ったらもう良い」というらしい。気持ちはわかる。

2006/07/14/Fri.

この前の出張のときに、珍しく腕時計を付けようと思ったら電池が切れていた T です。こんばんは。

Web 日記

「ザ・ワールドの時が止まる時計」というものを作ってみた。

明日の仕事 (テスト、面接などなど) まで、あと何時間……。時間を止めたい貴兄のサイトにいかがだろうか? 設置方法などは上のリンク先で御紹介している。

研究日記

終日病院。テクニシャン K嬢に免疫沈降を伝授。

酒中日記

久々にバーへ。新しいアルバイトの女の子が入っていた。驚いたことに、丸刈り。これがまたよく似合っている。相当に顔が整っていないと、女の子の坊主は難しい。今日はその娘にカクテルを作ってもらった。マスターが作るのと微妙に味が違っていて、何となく愉快な気分になる。

2006/07/13/Thu.

天気予報など見ない T です。こんばんは。

その日の朝の空を見て、傘を持って行くか行かないかを決める。予報が外れたら無性に腹が立つが、自分の判断が間違えならば、何となく諦めもつく。今日は休みだから、なおさら天気などどうでも良い。

Web 日記

livedoor の天気予報 RSS を利用して、「ウェザー・リポートのゴゴゴゴ天気予報」というものを作ってみた。

上の予報は本日の京都のものだが、もちろん変更可能。貴兄のサイトにいかがだろうか? 設置方法などは上のリンク先で御紹介している。

2006/07/12/Wed.

晩酌の時間が一番落ち着く T です。こんばんは。

Web 日記

「はやぶさ」というサーチ・エンジンがあるのだが、ついに国産の検索サービスもここまできたかあ、と感慨無量。

研究日記

病院 → 大学。

モノを片付けられない人ってのは、ありゃ病気だね。使用前の状況すら再現できないのに、実験の reproducibility がとかって笑わせるなよアホが。「僕の記憶は 5秒しかもたない」って背中に張り紙でもしとけボケ。

明日は休み。

2006/07/11/Tue.

瓶ビール 2本で良い気分の T です。こんばんは。

Web 日記

ブラウザで動く OS、「YouOS」なるものが出た。これまでに、ローカル上で動くブラウザ・プラットフォームは見たことがあるけれど、データその他を全てサーバ側にやってしまうのはこれが初めてではないか。「サイトのデスクトップ化」を推し進めるならば、web 上で動く OS の構築は必然的でもある。出るべくして出たものといえよう。

研究日記

大学 → 病院。

ボスとディスカッション。最近、ディスカッションの日時が不定期かつ唐突になって、慌てふためくことが多い。お互いの時間が無駄にならないよう、せめて前日に連絡してくれれば良いのだが。

PCR のプロトコルをまた間違える。頭ボケてんのか、俺。

テクニシャン嬢 2人、研究員嬢と晩飯。

2006/07/10/Mon.

杏里『CAT'S EYE』の再生が早くも 100回を越えた T です。こんばんは。

竹原慎二のボコボコ相談室

以前、北方謙三先生の人生相談「試みの地平線」について書いた。今回、これに匹敵する香ばしい人生相談を見付けたので御紹介する。その名も、「竹原慎二のボコボコ相談室」。「サラリーマンの悩みへ、クロスカウンター」と副題にある通り、元 WBA 世界ミドル級チャンピオン・竹原慎二が、サラリーマンの相談にズバリ回答する。

「今の仕事を始めて4年、苦手な事を克服できません」

竹原慎二チャンプおまえには無理。4年も経つ前に、自分の向き不向きぐらい気づけや」

「やりたい事が見つかりません」

竹原慎二チャンプ知らねーよ

「何かやりたい。でも、何やっていいか分からない」

竹原慎二チャンプ「おまえ、人件費のムダだよ」

「仕事を辞めて、音楽で食っていきたい」

竹原慎二チャンプ「おめーみたいな奴は、くさった歌しかつくれねーよ

相談になっていない。タイトル通り、竹原チャンプのクロスカウンターが炸裂しまくっている。質問も「ヤラセじゃねえの?」と思うくらいに下らないものばかりで、チャンプの怒りもよくわかる。相談者は俺と同世代のサラリーマンなのだが、これらの質問がマジだったとしたら頭が痛くなる。

しかしとにかく、竹原チャンプのクロスカウンターは必読!

頭のイナバウアー

問題。下の各グループの平仮名に共通することは何か。

  1. うらこえいり
  2. おはむ
  3. かけ
  4. くそへろひんしつて
  5. すみ
  6. もせを
  7. のる

解答。各グループの平仮名は位相幾何学的に同じ。

ネタの切り口は悪くないと思うんだが、料理の仕方を思い付かない。手書き認識ソフトには利用できそうだなあ。もう使われているかもしれんが。

研究日記

大学 → 病院 → 大学。

病院では研究センター全体のセミナーもあり、まとまった時間が取れず。仕方なくチマチマとデータを整理していたら、結構な数の figure が整った。ヘンに生産的な 1日だった。

大人だもの

デスノートに自分の名前でも書いとけ

2006/07/09/Sun.

これまで「一人暮らし」という言葉を使ってきたが、さらなる殺伐さを求めて「独居」に改めようかと考えている T です。こんばんは。

2種類の情報

情報には、公開・共有することによって価値が生じる情報と、その逆の情報がある。ここ数日、日記で述べた情報の話は、全て前者についてである。ネット上の情報だから当然なんだけど。

後者、つまり公開することによって価値が滅失する情報とは、簡単にいえば「秘密」のことだ。例えば、暗号やプライバシー、あるいは、親しい間柄によってのみ共有される情報なんかもそうである。情報自身に価値がなくとも、「秘密になっている」ということそれ自体が価値を生み出す。子供同士の秘密なんかが典型的だな。大したことではないが、大事なことである。少年よ、秘密を抱け。秘密を持たない大人になんかなるんじゃねえぞ。

情報化社会と高齢化社会

ところで、「情報化社会」っていう日本語はおかしくないか? 「情報化しつつある社会」ということなんだろうか。「情報化」って何よ、という疑問もある。川崎和男は「情報社会化」といっているが、確かに、こちらの方が日本語としては素直である。

「情報化社会」という日本語は、1969年に林雄二郎という人が、そのものズバリ『情報化社会』という本で提唱したのが初出だという。思ったより早い。英語では information-oriented society というらしい。

同様の単語に「高齢化社会」がある。英語では aging society という。「aging」を「高齢化しつつある」ということで訳したんだろう。何となくわかる。これは国連の報告書で定義されている用語で、他にも次のようなものがある。

日本は 2002年から高齢社会で、超高齢社会になるのも間近という。「高齢化社会」なんて言葉を使っていたら笑われるな。

研究日記

大学 → 病院 → 大学。

病院で細胞の初代培養ができさえすれば、このように駆けずり回る必要もなくなるのだが。今年度中に初代培養用の部屋ができるらしいが、どうせ中身を立ち上げるのは俺なんだろうな。まァそれも仕事なんだが。

今の職場には、テクニシャンの方々はたくさんおられるのだけど、大学院生クラスの研究員が払底している。ポスドクは医者であり、いわゆる Ph. D とはまた違う。俺のような人材には、潤沢な研究費や待遇の良さと引き換えにストレスを我慢するか、夢を追い求めて理学の世界に戻るか、あるいはまともな社会人を目指して企業に転職するか、という選択肢があるけれど、それも若い間だけ。しかも業績があっての話だしな。ドロップアウトする人も少なくない。おお怖い。頑張らないとなあ。

2006/07/08/Sat.

キャッツアイ 3姉妹では、もちろん長女の泪 (ルイ) 姉さんが好きな T です。こんばんは。

Web 日記

JavaScript などによる動的なページの生成・加工の問題点として、ページの内容と URL が一対一対応しない、ということが挙げられる。具体的にいえば、情報の参照に支障をきたす。先日の日記で「生成 → 加工 → 閲覧」という情報処理のスキームについて書いたけれど、いかに優れた処理をされた情報であっても、参照できないのでは全く価値がない。固定リンクを作るとか、Cookie を利用すれば良いのだが、それは動的ページにおける URL 問題の根本的な解決ではない。URL の本質は「場所」だけど、動的ページで重要なのは「状態」だからなあ。

そういえば、「PAGUNA」という、Ajax を駆使した単一ページのホテル予約サイトがニュースになっていた。こういった、いかにも「ヤリ過ぎ」なチャレンジは大好きである。オーパーツ (OOPARTS; Out Of Place Artifacts) じゃないけれど、どうなってんのコレ?という驚きには魅かれる。

例えば「fluxiom」という画像共有サービス (といって良いのか) があるんだけど、デモ動画で見られるインターフェイスは Flash ではないらしい。ヤリ過ぎ。でもスゴい。

研究日記

病院 → 大学。

GFP を導入した細胞を見ながら「♪緑色に光る〜」(杏里『CAT'S EYE』) とか歌っていたら、もうメロディが頭から離れない。何をやっても magic play is dancing。帰宅してから iTunes Music Store で購入してしまった。We get you!

2006/07/07/Fri.

久し振りに爆睡したら頭が痛くなった T です。こんばんは。

本日は休み。昼前に起きて、飯を食ってから昼寝。夕方に起きて、コンビニで立ち読み。結構充実。立ち読みするなら買えよって話だが。

Web 日記

「Archive」のプログラミングを少し。安定したバージョンができたので差し替えてみる。だいぶ洗練されてきたと思う (自画自賛)。まだまだやりたいことはあるが、ま、少しずつ。何がウザいって、JavaScript の動作確認が面倒臭い。CGI ならサーバでさえ動けば問題ないが、JavaScript はブラウザ毎の実装が微妙に異なるのでキレそうになる。CSS でもそうなのだが、本質的でない作業なだけにストレスが溜まる。Web プログラマって大変だよなあ。

一応、Mac の Safari、Firefox、Opera で確認済み。Win IE は明日、職場で見てみようと思う。もうすぐ IE 7 が出るけれど、また波瀾があるのだろうか。基本的に IE の独自仕様は無視しているので、関係ないけれど。

昨今の Ajax ブームのおかげで、クロスブラウザ対応の JavaScript ライブラリというのが出回っている。これを使えば作業が容易になるのは百も承知だし、実際に参考にもしているのだが、あくまで勉強とか趣味でやっているので、コードのコピー&ペーストはしないことにしている。どんなショボいプログラムでも、自分で書いたものが思った通りに動くっていうのが、プログラミングの醍醐味だと思うし。既存のソースを利用して、便利なツールをチャチャッと開発できる人は尊敬するけれど、俺の目的はちょっと違うという話。

何だかんだいって、プログラミングってある意味では簡単なんだよな、理詰めだから。それよりも、使い勝手とかカッコ良さとか、そういったものをどのように実現するか、そちらの方が難しい。

2006/07/06/Thu.

飲みに行きたい日に限って雨に見舞われる T です。こんばんは。

最近、色んなことが思い出せなくて困る。ある漫画 (だったと思うのだが) の一場面。良家のお嬢様が「クソ喰らえ!」と口走る。血相を変えたお付きの人が、「もっと上品な言葉を」とたしなめる。素直なお嬢様は「大便召し上がれ」と言い直した……という、本当にどうでも良い話なのだが、この出典が何であったのか思い出せない。

研究日記

終日病院。大間違いの反応組成で PCR をかける。当然バンドは出ず。何やってるんだ……。

今月いっぱいで退職される先輩研究員女史の空きポストを、どうやら俺が襲名させて頂けるようで、そのための書類作成を少し。形だけのことで、待遇は変わらないんだけどね。

明日は休み。ゆっくりする予定。

2006/07/05/Wed.

Perl なんかより JavaScript の方がよっぽど難しいと思う T です。こんばんは。

Web 日記

要するに JavaScript は汎用言語ではないので、プログラミングにおける抽象思考が、常に具体的な制約に縛られるということ。

さて。「Web 2.0」という言葉が浸透してきたと思ったら、もう「Contents 2.0」「Search 2.0」「Game 2.0」という安っぽい単語が出てきている。先日リニューアルしたエキサイトは「Media 2.0」だって。アホか。いや、方向性とかではなく、その安直なネーミングについて。

ネットの世界で何が起こっているのかというと、それは膨大な情報の蓄積なわけで、目の前の端末と回線の向こうのサーバが行っているのは、全て「情報処理」という言葉で一括できる。一番最初、情報は HTML によってシンプルに記述されていた。これが第1次ネットブーム。次第にそれだけでは間に合わなくなってきたので、一次情報を XML なり何なりの汎用フォーマットで記録し、加工したものを (X)HTML + CSS で閲覧するようになる。ユーザは一次情報の記録のみに専念できるようになった。閲覧に向いたフォーマットがが静的ながらも自動的に生成できるようになったのが blog で、これが昨今のブームになっている。それを動的にしたものが、web 2.0 とか Ajax なわけだろう? 違うんだろうか。

情報の生成 → 加工 → 閲覧というスキームは何ら変わっていない。情報の生成がより簡単に、閲覧がより快適になる一方で、加工のステップがどんどん複雑になり、そのために様々な技術を用いたアプリケーションのレイヤーが物凄い勢いで挿入されている。この層は、一般ユーザにとってはほとんどブラックボックスと化しつつある。これは悪い話ではない。テレビの仕組みがわからなくても番組が視聴できるように、これはテクノロジーの成熟が見せる普遍的な現象である。が、ネットはまだ完熟ではない。素人の遊ぶ余地はたくさんある。そこが面白い。

何が言いたいのかというと、既に web サイト自身が情報をブラウズするためのアプリケーションとなりつつある、ということで、そういう観点から「Photo Album」を組み直してみようとしている。それで JavaScript のお世話になっているというわけ。構想は色々あるんだけど、なかなか進まないんだなあ。

研究日記

終日病院。今日も雑用少なめで実験みっしり。結果が翌日以降に持ち越しとなる実験は、何となく落ち着かないものだ。

実験室が異様に暑くて汗をかく。テクニシャン嬢達からも不満続出。RNA のサンプルに汗が入ったらどうするのかと言われ、さすがのボスも、据え置き型のクーラーを購入することにしたようだ。確かに、RNA のキットの価格を考えれば、数万円の簡易クーラーなんて安いもの。というか、キットが高いだけか。研究費の金銭感覚は別回路なので、たまに我に返るとゾッとすることもある (日常生活の金銭感覚では、試薬なんか買えたもんじゃないが)。

ラーメンとビールの晩飯。俺に「おやすみ」と言ってくれるのは、ラーメン屋の大将とバーのマスターだけ。値段や味で店を選ぶのは、ある意味とても贅沢なことではないか。要するに他のことが既に満たされているわけだから。俺なんか、店を選ぶときは人間第一。話ながら飯を食いたいときってあるもんなあ。

2006/07/04/Tue.

2時間 + 3時間といった分割睡眠をしている T です。こんばんは。

単に眠りが浅いだけなんだけど。ジジイか、俺は。

研究日記

終日病院。

核タンパク質の IP-Western とかいって、なかなかこれが難しい。再現性高く、確信するに足る充分なデータは出揃っているんだけど、figure に使えそうな綺麗な写真がどうしても撮れない。いつも後一歩のところで、どこかに不満が残る。定性的なデータだから、そこまでこだわらなくても良さそうな気もするが、まァもうちょっと頑張ろう。

2006/07/03/Mon.

ライブドアのリニューアルを見て、自分もサイトをイジりたくなった T です。こんばんは。

以前から、ライブドアのページに漂うエンジニア魂は好きだった。見た目は Yahoo! のもろパクリなくせに、裏側は全く違っていたところとか。テクノロジーに対するノリは、はてなにちょっと似ている。

今回のリニューアルでデザインも良くなったし、色んなところに小さなガジェットが埋め込まれているのも楽しい。これって、俺が自分のサイトでやりたいことと一緒なんだよな。

透視図法と文明社会

下のような写真を眺めていると、一点透視図法なんて誰にでも思い付けるような気がしてしまう。

駅舎

しかし、このような光景が現れるには、ある程度以上の長さを持つ複数の直線的な構造物が、極めて正確に平行配置されなければならない。それには技術と金銭と人手、要するに一定の権力が必要なわけで、図法という芸術的なテクニックもまた、文明社会の産物であるということに気付く。

だからどうした、という話だが。芸術というものを、人間の精神や自然の美といったもののみに還元するのが気に喰わないので書いてみた。

研究日記

終日病院。SDS-PAGE をしてから、データ処理を少し。ボスとディスカッション。夜はセミナー。今日は雑用が少なかったので充実感がある。毎日これくらいだったらなあ、とは贅沢か。

大人だもの

¥マン解決

2006/07/02/Sun.

緊急に必要ではない勉強にハマってしまう T です。こんばんは。

研究日記

病院。細胞の世話だけして帰宅。さすがにちょっとしんどい。帰って昼寝。その後、少し勉強。

プロテインキナーゼは様々な細胞内シグナルに関わっている。例えばある経路 1 において、因子 A がリン酸化されると活性型になって下流の因子 B を抑制する、というのはよくわかる。経路 2、3……4、においても似たような機構が働いている。それもよくわかる。しかしこれら複数の経路を、キナーゼを中心に組直そうとしたとき、途端にわけがわからなくなる。やたらめったら、都合の良い場所とタイミングで特定のターゲットをリン酸化するわけだ。キナーゼを中心に置いてみると、何だか「ウソくせー」と言いたくなる。

もちろんキナーゼも別の因子によって調節を受けている。PKA なら cAMP、PKC なら Ca2+、という具合。だが、cAMP にしろ Ca2+ にしろ、キナーゼ以上に色々な反応に関わっているわけで、結局は余計にわからなくなるという始末。まァ、まだまだ勉強不足なんだろうが、一口に「キナーゼの勉強」といっても膨大な量になるからなあ。

ところで、ここでは「キナーゼ」と表記しているが、kinase の英語読みは「カイネース」である。サイエンスの標準語は英語であり、いくら日本語として流通していても、できるだけ英語の発音を使うように注意している。また、そういうふうに訓練もされる。ところが、医学界ではまだまだドイツ語の名残が強くて、キナーゼ的な発音をよく耳にする。

さらに許せない(というか慣れない)のが、体積の単位に「ml」ではなく「cc」を使うところ。cc って。料理じゃないんだから。国際的な単位でもないし。あくまで個人的なイメージなんだが、cc って、ml より精度が低そうに聞こえるんだよな。「500 cc のバッファー」って、なんかイヤじゃない? 俺だけかなあ。

大人だもの

人権は人になってから

2006/07/01/Sat.

東京で発表してきた T です。こんばんは。

自分でも意外だったが、これまで、東京で開かれた学会とか研究会で発表したことってなかったんだよなあ。

研究日記

東京 → 我が豪邸。

簡単にスライドをチェックし、昼前にホテルをチェックアウト。発表のことを考えると胃が痛くなる。基礎的な研究とはいえ、現在の俺が行っているのは医学関係の仕事である。研究者の大部分は医者であり、そして俺は医者ではない。発想やタームが根本的に異なることも多く、それが時に苦痛となる。

例えば、発表後の質疑で「どういうふうに治療に結びつけるのか」「どういう病気と関連があるのか」と問われても、俺には答えられない。通り一遍の解答はできるが、しかし相手は医者であり、どだい俺のいうことなど陳腐なものにしかならない。あと、いまだに医者の世界の雰囲気に馴れない、というのもある。別に医者にコンプレックスがあるわけではないが、ジーンズに T シャツで発表できる理学系のプレゼンテーションとはやはり空気が違う。かといって、いわゆる普通の社会ともまた違うんだよなあ。あまりに特殊過ぎる。良い悪いの話ではないんだけど。