- Primary Culture

2005/07/08/Fri.Primary Culture

細胞培養に興味を持っていた T です。こんばんは。

研究日記

Primary culture
(細胞の)初代培養。組織から採取した細胞(初代細胞)の培養をいう。心筋や神経細胞は基本的に増殖能を持たないので、培養というか「分裂しない細胞をシャーレ中でできるだけ生かし続ける技術」と捉えた方が良いのかもしれない。

「心筋の primary culture の系を立ち上げて」とか言われる。何がキツいって、俺、細胞培養の経験がないんだけど。一応その旨を伝えると、「勉強だと思って。時間がかかっても良いから、じっくりやってみろ」というムチャクチャなありがたいお言葉。まァ俺も、様々な経験をしたくて畑違いの分野に飛び込んできたわけだから、良い機会だし、挑戦させてもらおうかと。他の細胞も飼っているようなので、まずは細胞培養がどんなものかというところから見聞しようと考えている。……長い道程だな。

ウチのラボには、まずボスがいて、その下に数名の先生がおられる。そして流動研究員が一人と、10名ほどのテクニシャンが雇われている。あとは俺。理学部だと、流動研究員 = ポスドク、テクニシャン = 修士卒、というイメージが強いんだけれど、医学部はちょっと違う。医学部には修士がなく、学部卒業 = 医者であるから、大学院生のときから「先生」となる。そもそも医学部の大学院生は極めて少ない。それも当たり前で、わざわざ医学部を卒業して研究者になる人は珍しい。

そういうわけで、理学部では主戦力となる院生、ポスドクという存在が医学部にはほとんどいない。いたとしても、俺のような他学部出身者である場合が多い。先生方は研究者である以前に医師であり、医者としての仕事も山積しているから、常にラボにいるわけではない。一方で、テクニシャンのほとんどは専門学校卒である。だから、今ある実験系だけで仕事をする分には困らなくとも、新しい系を立ち上げたりしようとすると、人材の微妙な真空地帯が生ずる。そこに放り込むために、先輩や俺のような研究員が雇われる。マルチプレーヤーというか、何でも屋というか。ある程度自立的に研究できる人間ならば、結構歓迎される。あれだけ「仕事がない」と言っていたのがウソのよう。盲点だったな。

数年間、武者修行するには良い環境だと思う。問題はその後だが、それはまた別の話。