2003/06/21/Sat.風太
俺の本名は割と古風で少々堅めの印象がある。自分では気に入っている。しかし最初、母は俺に「風太」という名前を付けようとしたらしい。危うく俺は「風太」として人生を送るハメになるところだったのだ。絶対イヤだ。
だって風太だよ、風太。ふーた!
……全国の風太氏、すまん。「名は体を表す」というが、ある程度の歳になれば名前に相応しい風貌が身に付くものだ。周囲の人間を思い浮かべたら、成程その人にはその名前しかないというほど、しっくりきている。
もしも俺が「風太」ならば、今とは違った人生を歩んできたことだろう。
- 風太は俺ほど痩せてはいない。がっしりした体格だが、背はやや低めだ。眼鏡はかけない。視力は両目とも 1.5。間違いない。俺のように老けてはいない。若く見える。勿論「オッサン」と呼ばれることもない。女子供と老人に人気がある。
- 風太はガチンコ体育会系だ。候補の部活は陸上部短距離・野球部・柔道部。文系である。間違っても分子生物学で大学院などには行かない。4年制大学の経済学部を卒業し、営業・販売の仕事をしている。これまた幼い感じの彼女がいる幸せ者だ。
- 風太は煙草を吸わない。酒は呑めるがすぐに赤くなる。俺のように毎日インスタントラーメンで我慢してまでバイクを買わない。彼は焼き肉が大好きなのだ。食費は少々かさばるが、その代わり自転車でどこまでも行く。
- 趣味は特にない。休日はランニングや散歩をした後、買い物に行ったり料理をしたりする。見た目に反して凝った料理を作るので友人には好評だ。俺と違って読書やゲームはあまりしない。音楽はよく聴く。カラオケで SMAP を歌わしたら上手いが、洋楽はわからない。
割と良い人生のようだ。しかし、
今の俺と風太の俺は恐らく友人にはならないだろう。
いつか息子が生まれたら「風太」と名付け、この想像が当たるかどうかを試してみよう。